ICH M10:生体試料中薬物濃度分析法バリデーション及び実試料分析に関する国際調和ガイドライン

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<p>【目的】医薬品開発の際に実施される生体試料中薬物濃度分析は,用法用量の設定や有効性・安全性等の評価において重要な役割を果たし,規制当局における様々な意思決定にも用いられる.そのため,本邦を含め各国/地域の規制当局から,信頼性確保のためのガイドラインが策定されているが,グローバル開発品目では,提出する規制当局によってバリデーションの実施内容を変更する必要があるなどの問題点が指摘されてきた.このような状況を改善し,効率的な医薬品開発を推進するため,各国/地域の規制当局及び業界団体の専門家と連携し,生体試料中薬物濃度分析法及び実試料分析の信頼性確保に関する国際調和ガイドラインを作成した.</p><p>【方法】2016年に国際調和(ICH)ガイドラインの新規トピックとして生体試料中薬物濃度分析法バリデーションを日本から提案し,複合領域のトピック(M10)として採用された.2019年にガイドライン案に対する意見公募を実施し,2022年5月に国際調和ガイドラインとして採択された. </p><p>【結果・考察】国際調和されたM10ガイドラインは,9つのセクション(序論,一般原則,クロマトグラフィー,リガンド結合法,Incurred Sample Reanalysis,パーシャル及びクロスバリデーション,その他の留意事項,文書化,用語集)から構成される.本ガイドラインは,GLPの原則に従って実施された非臨床TK試験,臨床試験の代替として実施される非臨床PK試験,及び全てのフェーズの臨床試験で得られた生体試料中の化学薬品および生物薬品とその代謝物の濃度測定に適用され,内因性分子と同じ構造を持つ医薬品も適用対象に含まれる.クロマトグラフィー及びリガンド結合法に関して,バリデーションに加え,実試料分析における推奨事項が記載されている.その他の留意事項に関する章では,マイクロサンプリングに使用される乾燥マトリックス法に関連する要件が示され,採血方法に関する新技術も考慮した内容となっている.全体を通じて,M10ガイドラインには,既存の国内ガイドラインよりも詳細な推奨事項が記載されており,本発表では,国内ガイドラインとの違いについても説明する.</p><p>【結論】ICH M10ガイドラインが2022年に国際調和された.医薬品のグローバル開発の効率化への貢献が期待される. </p>

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