リンパ腫様型/形質細胞腫型尿路上皮癌との鑑別に苦慮した腎門部発生悪性リンパ腫の 1 例

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  • A case of primary renal lymphoma that was difficult to differentiate from invasive urothelial carcinoma, lymphoma-like/plasmacytoid variant

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抄録

<p>背景:今回われわれは術前尿細胞診にてリンパ腫様型/形質細胞腫型尿路上皮癌(PUC)と誤診した腎門部発生のびまん性大細胞型悪性リンパ腫(DLBCL)を経験したので,細胞所見を中心に報告する.</p><p>症例:60 歳代,男性.腎門部腫瘤の精査・治療目的で当院泌尿器科を紹介受診された.術前自然尿細胞診では,変性した細胞や炎症細胞と混在して小型異型細胞を散在性に認めた.細胞質は薄く,核は中心性からやや偏在性を示し,クロマチンは濃縮状から微細顆粒状に増量していた.核にくびれをもつ細胞もみられた.また形質細胞様異型細胞も散見されたため,PUC と診断した.摘出腎の病理組織像では,尿路上皮下に類円形核をもつ腫瘍細胞がびまん性に増殖していた.腫瘍細胞の N/C 比は高く,単核で類円形,核型不整や一部にくびれをもつ細胞を認めた.単個で目立つ核小体をもち,腫瘍細胞間にはリンパ球,形質細胞が混在していた.以上の組織所見と免疫染色結果より DLBCL と診断した.</p><p>結論:腎盂原発のリンパ腫は非常にまれな腫瘍で,細胞診での鑑別には苦慮するが,異型細胞の集塊状出現や核のくびれの有無,異型細胞径の多形性に着目することにより推定は可能であると考えた.</p>

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