商品の使用価値と市場のローカルな規範感覚
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- 川端 基夫
- 関西学院大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Product Value-in-Use and a Local Sense of Standards in Market
説明
<p> 近年の消費のグローバル化は,多様な商品(サービス ,ビジネスモデルを含む) の越境を推し進めつつある.しかし一方で,越境した商品が,進出先市場で母市場とは大きく異なる意味や使用価値を持つようになる現象も多く確認されている.本稿では,このような現象を理論的に理解するために,1990年代に日本のマーケティング研究領域で展開された使用価値を巡る議論を整理し,それに筆者が提唱してきた「市場のコンテキスト」という概念を組み込むことで,国境を越えた使用価値の生成メカニズムを説明する理論的フレームを提唱する. <BR> このフレームでは,進出先市場での使用価値は,母市場のコンテキストに基づく意味付けと,進出先市場のコンテキストに基づく意味付けとを摺り合わせる中から生成されると考える.この市場のコンテキストは,自然,人口,政治・経済,歴史,宗教などが複雑に絡み合ったものであるが,それが消費者間で共有されたローカルな規範感覚を生み出しており,それが商品に対して便利,使い易い,カッコいいといった意味付けを行っているのである.<BR> したがって,国境を越えた商品の使用価値を考える場合は,母市場と進出先市場それぞれにおけるローカルな規範感覚がその商品にどのような意味付けをするのかを捉えることが課題となる.</p>
収録刊行物
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- 経済地理学年報
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経済地理学年報 67 (4), 223-234, 2021-12-30
経済地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390013120579903744
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- ISSN
- 24241636
- 00045683
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可