Dulaglutideが奏効した糖尿病合併高インスリン血性低血糖症の1例

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  • A Case of Hyperinsulinemic Hypoglycemia Complicated With Incident Diabetes Mellitus That Was Successfully Treated With Dulaglutide

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抄録

<p>患者は50歳代,女性.20歳代から低血糖発作を反復し,7年前に反応性低血糖と診断.1年前に15 kgの体重増加(BMI 26.0 kg/m2)とともに糖尿病を指摘され(HbA1c 9.3 %),当科に入院.血糖コントロールは改善したが,2ヶ月前より30~40 mg/dLの低血糖を頻発し,当科に再紹介.BMI 22.8 kg/m2,HbA1c 5.9 %,低血糖の原因となる服薬なく,インスリン抗体は陰性.副腎不全はなく,造影CTで膵に腫瘍性病変なし.75 g-OGTTでの血漿血糖(PG)(mg/dL)/インスリン(IRI)(μU/mL)は,前:94/9.1,120分:209/545と負荷後に著明な高インスリン血症が惹起され,5時間後に血糖46 mg/dLまで低下.絶食試験は陰性であったが,72時間後のPG 50/IRI 2.1で,グルカゴン負荷後のΔPG 17 mg/dL.選択的動脈内カルシウム注入試験では,上腸間膜動脈でIRIの2倍以上の増加(8.6→17.7 μU/mL)が認められ,non-insulinoma pancreatogenous hypoglycemia syndrome(NIPHS)の病態と考えられた.GLP-1受容体作動薬であるDulaglutideを開始したところ,血糖変動は速やかに平坦化し,低血糖発作は消失した.DulaglutideによるNIPHSの治療例は報告されておらず,稀な高インスリン血性低血糖症として報告する.</p>

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 65 (12), 680-685, 2022-12-30

    一般社団法人 日本糖尿病学会

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