小型ハクジラ類6種における新奇飼育空間への馴化過程と馴化に影響する要因

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  • Habituation Process and the Factors Influencing Habituation to a Novel Captive Space in Six Small Toothed Whale Species

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抄録

<p>飼育下の小型ハクジラ類(以下,鯨類)は,新奇飼育環境(新奇の空間,人,餌)に晒されることがあるため,その環境に速やかに馴化させる必要がある。哺乳類や鳥類において,馴化の速さには,性別,年齢,同居個体の有無が影響していることが知られている。鯨類においても,新奇刺激に対する反応には,同様の要因が影響していると考えられているものの,新奇飼育環境への馴化の速さに影響する要因については明らかになっていない。本研究では,野生下から飼育下へ搬入したコビレゴンドウ11頭(雄3,雌8),カズハゴンドウ15頭(雄4,雌11),ハナゴンドウ21頭(雄9,雌12),ハンドウイルカ37頭(雄13,雌24),シワハイルカ10頭(雄2,雌8),及びスジイルカ6頭(雄4,雌2)の6種100個体における新奇飼育環境への30日間の馴化過程を行動観察することで,馴化の速さに影響する要因の検証を行った。検証する要因は,搬入後の日数,対象個体の性別,対象個体の体長,1日の同居個体の数,1日の餌回数,及び強制的な栄養補給回数(強制給餌と温水補給の合計回数)の6項目とした。行動観察の結果,どの種も日数経過に伴い馴化した。さらに,CLMによるモデル解析の結果,餌回数と栄養補給数の影響は不明であったものの,馴化の速さに性差がある種があった。また,体長や同居個体数の数値が大きいほど馴化が速い種と,逆に小さいほど速い種が確認された。</p>

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