補助犬使用者の海外旅行の現状と課題に関する調査

  • 倉澤 悠維
    神戸大学 大学院保健学研究科 リハビリテーション科学領域
  • 三浦 靖史
    神戸大学 大学院保健学研究科 リハビリテーション科学領域

書誌事項

タイトル別名
  • Current Situation and Issues Regarding Overseas Travel by Service Dog Users

抄録

目的:我々は2015年に本邦に国際線を運行する航空会社の補助犬使用者(以下、使用者)への対応状況について調査し報告しているが、使用者の海外旅行に関する調査の報告はこれまでにない。そこで、本研究では、海外旅行経験のある使用者から聞き取り調査を実施することにより、補助犬同伴での海外旅行の現状を把握し、課題を明らかにすることを目的とした。 方法:2016年4~6月に海外旅行経験のある使用者を対象に電子メールあるいは電話でアンケート調査を実施した。聞き取り項目は、使用者情報、補助犬情報、旅行の詳細、旅行前の準備内容、海外旅行における困難点や課題、その他である。 結果:回答者数は11名、2003年〜2016年5月までの旅行件数は14件、渡航先は7か国であった。旅行における困難な点として、7名が検疫手続き、3名が補助犬の排泄場所、3名が補助犬の体調管理や水分摂取制限、8名がその他と回答した。一方で、2名は問題がなかったと回答した。困難な内容に、旅行年次による違いはみられなかった。 考察:最も困難が感じられていた検疫手続きに関して、窓口や担当者が統一されていないこと、手続きに時間がかかることが理由としてあげられた。補助犬を同伴して円滑に海外旅行を行うためには、検疫手続きや排泄場所など多様な情報の収集が重要であることが示唆された。 結論:使用者が円滑に海外を旅行できるように、補助犬同伴に必要な情報提供を積極的に行う施策を実施する必要がある。

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