江戸木目込人形の製作における知的障害者の活用について : 付加価値の高い障害者施設製品に関する考察

書誌事項

タイトル別名
  • Utilization of people with intellectual disabilities in the production of Edo Kimekomi Dolls : Consideration of value-added products made by people with disabilities

この論文をさがす

抄録

研究の概要(和文):本稿では、高収益を生み出す付加価値の高い障害者施設製品の可能性について考察する。特に重度の障害者に対する工賃の低さは障害者就労支援における問題点の一つである。如何にして付加価値の高い障害者施設製品をつくり続けるかが重要な論点であると考える。 付加価値の高い障害者施設製品の候補として、本稿では「伝統工芸品」を取り上げる。まず第Ⅱ節では、障害者就労の現状、障害者施設製品に関する問題点、伝統工芸品産業の地域における価値について整理する。次に第Ⅲ節では、実際に伝統工芸品を障害者施設製品として手掛ける社会福祉法人いわみ福祉会の取り組みを紹介する。いわみ福祉会では島根県の伝統工芸品である石見神楽衣裳類の製作を手掛け、全国平均を大きく上回る月額工賃の支給を実現している。 第Ⅳ節以降は、知的障害者等による製作の実現可能性を踏まえ、数ある伝統工芸品の中から「江戸木目込人形」に着目して考察を進める。まず第Ⅳ節では、江戸木目込人形の産地である東京都と埼玉県の人形工房を調査して、製作工程や製品開発及び販売について整理する。次に第Ⅴ節では、重度の知的障害者に対して実際に木目込み作業の指導を行い、指導時の要点を整理する。分業体制のもとに進められる江戸木目込人形の製作において、胡粉塗り作業や木目込み作業等、知的障害者等が取り組める工程は存在する。パート等の労働力を適宜活用したり伝統工芸士等の専門家と連携したりすることで、人形市場において高い競争力を誇る製品づくりを行うことが重要であると考える。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ