子ども福祉施設と教育思想の社会史― 研究動向の到達点と教育学的可能性 ―

書誌事項

タイトル別名
  • A Social History of Child Welfare Institutions and Educational Thought in Modern Japan― The Historiography and Potentiality in Educational Research ―
  • コドモ フクシ シセツ ト キョウイク シソウ ノ シャカイシ : ケンキュウ ドウコウ ノ トウタツテン ト キョウイクガクテキ カノウセイ

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説明

教育思想の社会史研究は,第一に近代教育批判を中核に置き,近代の教育思想の創出(誕生)や形成,変遷,衰退や普及を,同時代の歴史的・社会的文脈に即して明らかにした。第二に,現在に影響を残している近代教育思想が抱えた問題や矛盾を明らかにした。第三に,理想とすべき欧米近代の教育思想に日本の問題に対する回答を求める,進歩主義的な歴史観を批判した。これまでの教育学は,制度の外側でなされる教育にほとんど注意を払わなかった。本稿は,学校教育制度や近代家族規範との葛藤のなかで,子ども福祉施設における教育思想がどのように創出され消失したかを問う必要性を明らかにした。子ども福祉施設における教育は決して特殊ではない。新教育研究は,都市新中間層のための教育に焦点を当て,貧困層への教育や農村部での教育を軽視する傾向にある。しかし公教育制度の境界線上にある教育という視角から教育史像を再検討し再構成することが重要である。

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