成人期ADHDをもつアスリートへの薬物療法について検討を要した一症例

  • 山口 達也
    慶應義塾大学精神・神経科 熊本大学大学院医学教育部
  • 城野 匡
    熊本大学附属病院神経精神科
  • 橋本 衛
    熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学分野
  • 池田 学
    大阪大学大学院医学系研究科精神医学分野
  • 三村 將
    慶應義塾大学精神・神経科

書誌事項

タイトル別名
  • Pharmacotherapy for an adult athlete with ADHD: a case report
  • 症例報告 成人期ADHDをもつアスリートへの薬物療法について検討を要した一症例
  • ショウレイ ホウコク セイジンキ ADHD オ モツ アスリート エ ノ ヤクブツ リョウホウ ニ ツイテ ケントウ オ ヨウシタ イチ ショウレイ

この論文をさがす

抄録

<p>近年、注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)は、小児期の問題と考えられていたが、成人期にも発生すると考えられている。成人期ADHDは、不注意や衝動性などの精神症状によって日常生活上の問題を抱えることがある。ADHD患者への治療として、主に心理社会的治療および国内ではメチルフェニデート、アトモキセチンのいずれかを使用した薬物療法が行われている。しかし、世界アンチ・ドーピング機関は、一定水準以上の競技大会に出場するアスリートに対し競技会(時)のメチルフェニデートの使用を禁止している。本症例は20代男性で国民体育大会に出場している打撃球技系個人競技者の成人期ADHD症例である。アトモキセチンの投与により改善を認めたが、アスリートの薬物治療選択においてアンチ・ドーピングに関する規程について熟知し診療する必要性があると考えられた。それらの知識を身につけておくことで、メチルフェニデートの処方についても患者本人の症状や訴えに応じて適宜良剤を選択できるようになる。今回その薬物治療選択について再考させられた症例であったことから症例報告する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ