尿中のメラニン顆粒含有細胞の形態学的特徴とその鑑別法

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タイトル別名
  • Morphological features of cells containing melanin granules in urine and the identification method
  • ニョウチュウ ノ メラニン カリュウ ガンユウ サイボウ ノ ケイタイガクテキ トクチョウ ト ソノ カンベツホウ

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抄録

<p>悪性黒色腫は皮膚や頭頸部に好発し,最も予後の悪い腫瘍の一つである。本腫瘍の尿路生殖器への転移性病変は,生存中に発見されることは比較的稀である。今回,我々は生存中の悪性黒色腫患者で尿沈渣中にメラノーマ細胞およびメラノファージを認め,多発転移を見つける契機となった症例を経験したので報告する。症例は70歳代男性。外来受診時の尿検査で尿沈渣中に特徴的な異型細胞を認めた。尿沈渣に認めた異型細胞は,N/C比大,クロマチンの増量,明瞭な核小体を有し,細胞質に黒褐色のメラニン顆粒を含有し,メラノーマ細胞であることを各種染色法と免疫組織化学染色により同定した。さらに,同時に出現していた偏在性で小型の核を有するメラノファージの特徴と,メラニン顆粒と他の類似成分との鑑別法を示した。重要なことに,尿沈渣中のメラノファージの出現数は,血中LD値とUA値の変動と相関していた。本報告より,尿沈渣中に出現するメラノーマ細胞とメラノファージを分類し報告することは,尿沈渣成分による診断に加えて,予後予測や病態把握の新規マーカーとして応用できることが示唆された。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 72 (1), 148-154, 2023-01-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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