骨代謝に対するβクリプトキサンチンの作用

DOI オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of β-cryptoxanthin on bone metabolisms

この論文をさがす

抄録

<p>βクリプトキサンチンは柑橘などに豊富に含まれるカロテノイドの一種であり,抗酸化作用などの様々な生理活性を有する.これまでに骨粗鬆症への予防効果などが報告されているが,骨代謝への効果については不明な点が多い.</p><p>筆者らは,これまでに天然由来化合物による骨系統疾患への有用性に着目し,βクリプトキサンチンについて,炎症性骨吸収の抑制作用およびその作用機序の解析を進めてきた.βクリプトキサンチンは骨芽細胞においてNF-κB(nuclear factor κB)経路を阻害することで,プロスタグランジン(prostaglandin, PG)E2 産生,PGE2 合成酵素と破骨細胞分化誘導因子RANKL(receptor activator of NF-κB ligand)の発現を抑制し,炎症誘導性の破骨細胞分化および骨吸収を阻止する.In silico分子ドッキング法による解析では,βクリプトキサンチンの標的タンパクとしてIκBキナーゼ(inhibitor of NF-κB kinase, IKK)が示唆され,in vitro系との併用解析より,βクリプトキサンチンがIKK のATP 結合領域にATP と競合的に結合することで,そのキナーゼ活性を阻害することを見いだした.さらに,代表的な炎症性骨疾患のモデルマウスを用いた実験より,βクリプトキサンチンが炎症性歯槽骨破壊を予防する可能性が示された.</p><p>本総説では,βクリプトキサンチンの骨代謝調節作用について,最近の知見を解説する.超高齢社会において,骨や歯の健康維持・増進は国民的課題となっているが,その機能性成分の一つとしてβクリプトキサンチンが期待される.</p>

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ