ナラティブの協働構築によるラポール形成 : 母語話者による留学中の苦労話の語りを通して

書誌事項

タイトル別名
  • Rapport Development through Collaborative Construction of Narratives as Seen in Narratives of Difficulty during Study Abroad by Japanese Native Speakers

抄録

本研究では,類似の留学経験を持つ3人の日本語母語話者が語り合う留学中の苦労話のナラティブを取り上げ,フォローアップ・インタビューで得られた参加者の意識とともに,話題展開の中でのナラティブの協働構築を分析した。その結果,次の4点から,話題展開の中でナラティブの協働構築が行われることによって,参加者間で親近感,仲間意識が高まり,心が通い合った親しい関係,つまりラポール形成に繋がっていることが明らかになった。 (1)参加者間で「司会進行」を行うことで,類似の経験を持つ3人の苦労話を繋いで大話題を展開させており,参加者全員が会話に参加しやすくなり,会話を盛り上げることができていた。 (2)苦労話の反応部(小話題)で,聞き手が類似体験を簡潔に述べる情報提供をしたり,情報要求や言い換え,同意要求をして興味を示したり,「セリフ発話」で共感や理解を示したりして,語り手と共にナラティブを協働構築していた。(3)1つの大話題として,3人の参加者が同じ包括的な観点から,類似の苦労話(中話題)をそれぞれ1個ずつ語り,互いに情報や意見,感想等を共有して,ナラティブを協働構築していた。 (4)2人で共通の経験を協力しながら語ることで,会話を盛り上げていた。これらをもとに,日本語学習者がナラティブの協働構築を行うことでラポール形成をしていけるようになることを目指した指導学習項目の提案を行った。

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