ディオドロス・シクロス『歴史叢書』におけるペルシア戦争

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書誌事項

タイトル別名
  • The Persian Wars in the Bibliotheke of Diodorus Siculus
  • Focusing on the Description of the Battle of Himera
  • ヒメラの戦いに注目して

抄録

本稿は、紀元前一世紀のギリシア人作家ディオドロスのアイデンティティや思想を彼の大著『歴史叢書』から掬い取るということを目的とし、『歴史叢書』におけるペルシア戦争の位置づけを彼の叙述や作品構成に即して解明することを目標とするものである。具体的に、シケリアで同時期に起きたヒメラの戦いを考察対象として、彼が残したペルシア戦争の記述を分析した。考察の結果、ディオドロスはヒメラの戦いをペルシア戦争の一部として描く一方、両者を比較することでヒメラの戦いに歴史的価値を与えていたことがわかった。そして、彼 の描くシケリア史的ペルシア戦争は、シケリアのギリシア人という彼のアイデンティティを示すツールとして機能していたことを示した。更に、このようにシケリア史的ペルシア戦争史観を採用することで、人類の歴史を描く普遍史叙述という企図の中にシケリア史の視点を位置づけていることを明らかにした。

収録刊行物

  • 洛北史学

    洛北史学 23 (0), 1-27, 2021-06-05

    洛北史学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390013485542953600
  • DOI
    10.50967/rakuhoku.23.0_1
  • ISSN
    2436519X
    13455281
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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