クローン病患者におけるCOVID-19ワクチン接種後の病勢変化に関する検討

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<p>【背景】</p><p> クローン病(CD)は小腸診療において多く遭遇する疾患の一つである。炎症性腸疾患において、1〜3%程度の頻度でCOVID-19ワクチン接種後に病勢が増悪することが報告されているが、潰瘍性大腸炎と統合された頻度であり、個々の病態の変化に関する詳細な報告は少ない。そこで我々は、CDにおけるCOVID-19ワクチン接種後の病勢変化を明らかにすることを目的とし、本研究を行なった。</p><p>【方法】</p><p> 2021年10月から2022年2月の期間に、当科通院中のCD患者を対象にワクチン接種状況および接種前後のCDに関連する症状について後方視的観察研究を行った。</p><p> 詳細な臨床情報が得られた179例中、ワクチン接種を受けていた患者は148例であった。非ストーマ患者では接種前後のHarvey-Bradshaw index(HBI)を、ストーマ患者ではInternational organization for the study of IBD score(IOIBD)を算出した。</p><p> 接種前のHBI≦3もしくはIOIBD≦1を寛解期、HBI≧4もしくはIOIBD≧2を活動期と定義し、⊿HBI≧2あるいは⊿IOIBD≧2を増悪と定義した。接種後の発熱や倦怠感は4日以上持続するものを全身状態の悪化と判定した。</p><p>【結果】</p><p> ワクチンを接種したCD症例148例の平均年齢は44.3歳であり、男性104例、女性44例で、病型は小腸大腸型が87例、小腸型が43例、大腸型が18例であった。</p><p> 接種前のHBIおよびIOIBDの平均値はそれぞれ0.51および0.2であり、寛解期が119例、活動期が29例であった。病勢が増悪した症例を2例認めた。寛解期に増悪を認めた症例は1例(0.8%)で、初回接種の7日後から増悪し、腹腔内膿瘍のため手術を要した。活動期に増悪を認めた症例も1例(3.4%)であり、2回の接種期間を通じて徐々に増悪したため、ステロイドおよびアザチオプリン内服を追加した。</p><p>【結語】</p><p> CDにおいて、ワクチン接種後に病勢が増悪した症例を2例(1.4%)認めたものの、頻度は極めて少なく、ウィズコロナ時代において、CD患者へのワクチン接種は推奨されるべきと考えられた。</p>

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