腸管狭窄をきたした小腸原発濾胞性リンパ腫の1例

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抄録

<p> 小腸原発の濾胞性リンパ腫(FL)は,十二指腸から回腸に多発する白色顆粒状隆起性病変を呈することが多く,腸管狭窄をきたす症例は比較的まれである。今回,腸管狭窄をきたした小腸原発FLの1例を経験したので報告する。</p><p> 症例は70歳台の男性。家族歴に特記事項なく,既往歴に脳梗塞,胆嚢摘出術,脊柱管狭窄症を認めた。現病歴は,20XX年2月頃より食欲不振があり,半年間で5kgの体重減少を認めたため,20XX年8月に当科受診された。上・下部消化管内視鏡検査では,特記所見は認めなかった。造影CTでは,上部空腸に壁肥厚を認め,腸間膜リンパ節の腫大を認めた。ダブルバルーン内視鏡検査を施行し,上部空腸にびらんを伴う全周性狭窄を認め,同部位より生検を施行した。病理組織学的には,悪性所見は認めず炎症細胞浸潤を認めるのみであった。生検では悪性所見を認めなかったが,小腸狭窄を含め,各種画像検査から悪性リンパ腫が疑われたため,腹腔鏡下小腸部分切除術を施行した。手術検体の病理組織学的所見では,大型な濾胞中心細胞で構成された濾胞様結節の増生を認め,免疫組織化学染色では,CD10(+),CD20(+),CD79a(+),bcl-2(+),bcl-6(+),CD3(−),Ki-67は60%程度陽性であり,FL,WHO分類Grade 3Aと診断した。術後,リツキシマブ併用化学療法が追加され現在に至るまで再発は認めていない。</p>

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