『リア王の悲劇』の新構想(2):リアの王国をどうするか

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タイトル別名
  • A New Design in The Tragedy of King Lear (2) : What to do with Lear’s kingdom?
  • 『 リアオウ ノ ヒゲキ 』 ノ シン コウソウ(2)リア ノ オウコク オ ドウ スル カ

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抄録

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本論(1)に引き続き、Q テキストの『リア王の歴史劇』が作者自身による「改訂」を経てF テキストの『リア王の悲劇』が成立したとする立場から、その際にいかなる構想があったかを探る試みの第二段階である。 今回は登場人物がリアの「王国」に関してどのような意識を抱いているか、両テキストの違いを中心に考察する。結果として次のような「王国」に関わる意識が浮かび上がり、テキストの違いが明らかになる。リアの王国分割で彼の関心の中心は王国か、それとも自分の老いか。ケント伯の追放とエドガーの指名手配は両テキストどちらも王国に深くかかわる。コーディーリアが父親リアのために行動する目的は王位の復活か、リアの受けた不正義に対する復讐か。オールバニ公爵が関与するのは国際紛争としての戦争か、コーディーリアの率いる内乱の鎮圧か。最終的にこれらの違いをもたらす重要な要因が劇中で起きる戦争の性格の違いであると判明する。すなわち、フランス王国軍が侵攻する国際紛争としての戦争か、それともコーディーリアが率いる軍勢が引き起こす内乱としての戦争か。

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