急激な経過をたどった急性リンパ性白血病合併妊娠の1例

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タイトル別名
  • Acute lymphoblastic leukemia resulting in maternal death : a case report
  • キュウゲキ ナ ケイカ オ タドッタ キュウセイ リンパセイ ハッケツビョウ ガッペイ ニンシン ノ 1レイ

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抄録

<p>妊娠中に急性白血病を発症することはきわめてまれである.今回われわれは,妊産婦死亡に至った急性白血病合併妊娠の1例を経験したので報告する.症例は,45歳,2妊1産の経産婦であった.鼻出血を主訴に来院し,リンパ性白血病と診断され,同時に妊娠17週であることが判明した.著明な血小板数低下と貧血を認め,DICの状態であったため,輸血と化学療法を優先し,血液データの改善を待って人工妊娠中絶の方針となった.しかし造血不全は改善せず,妊娠18週5日に子宮内胎児死亡と破水を確認したため,輸血を行いながら妊娠19週0日にゲメプロスト腟坐剤を用いて死産児を娩出した.出血増加や子宮内感染は認めなかったが,全身状態が改善しないまま,産後16日目に死亡退院となった.急性白血病は診断後早急に治療を開始しなければならないが,妊娠初期の場合は,治療により流産や子宮内胎児死亡に至る頻度が高く,人工妊娠中絶を選択せざるをえないことが多い.しかし病状によっては,人工妊娠中絶自体のリスクが高く,白血病の病態にも影響する場合もある.症例によっては,本症例のように白血病の治療を優先させて,よりリスクの低い時期に処置を行う必要がある.白血病合併妊娠の治療や産科的処置のタイミングについては,血液内科と連携しながら,適切に判断することが必要である.〔産婦の進歩75(1):93-99,2023(令和5年2月)〕</p>

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