二絨毛膜二羊膜双胎の1児胎内死亡後にdelayed interval delivery(DID)で出産となった1例

  • 松本 培世
    兵庫県立こども病院周産期医療センター産科
  • 平久 進也
    兵庫県立こども病院周産期医療センター産科
  • 金子 めぐみ
    兵庫県立こども病院周産期医療センター産科
  • 窪田 詩乃
    兵庫県立こども病院周産期医療センター産科
  • 荻野 美智
    兵庫県立こども病院周産期医療センター産科
  • 船越 徹
    兵庫県立こども病院周産期医療センター産科

書誌事項

タイトル別名
  • A delayed interval delivery (DID) after a single fetal demise in dichorionic diamniotic twin pregnancy
  • ニジュウモウマク ニ ヨウマクソウタイ ノ 1ジ タイナイ シボウ ゴ ニ delayed interval delivery (DID)デ シュッサン ト ナッタ 1レイ

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抄録

<p>多胎妊娠で第1子娩出後,妊娠が継続し第2子の出産までに24時間以上期間が空くことをdelayedinterval delivery(DID)という.DIDに関するいくつかの報告はあるが,双胎1児減胎術後に起こったDIDの症例は報告がない.今回,二絨毛膜二羊膜双胎で1児減胎術後11週間妊娠が継続し,妊娠28週で死亡児が娩出となりその4日後に第2子が早産となった症例を経験した.症例は32歳,日本人女性,1妊0産.排卵誘発法で妊娠成立後二絨毛膜二羊膜双胎と診断された.妊娠15週で第1子に脳瘤を認めたため当院に紹介となったが,予後が不良であることを説明すると自己判断で妊娠17週6日に他院で減胎術を受けた.妊娠28週4日に突然,死亡児が娩出となり第2子の胎胞形成を認めたため,子宮収縮抑制剤,黄体ホルモン,抗菌薬の投与を行い,妊娠継続をはかり母体にベタメタゾン投与を行ったが4日後の妊娠29週1日陣痛抑制困難となり経腟分娩となった.1172 g,女児,Apgar score5/7点であった.胎盤病理で第1子の胎盤に絨毛膜羊膜炎を認めた.出生児は経過良好で日齢76で退院となった.妊娠週数が早い場合DIDを施行したほうが第2子の予後が改善するとの報告はあるが,第1子出産週数によっては予後に差がないとの報告もある.また,第1子が胎内死亡後のDIDに関する決まった指針はなく,絨毛膜羊膜炎の原因となる可能性も存在する.DIDを行うかどうかは妊娠週数,感染徴候などに注意して本人・パートナーに十分な説明を行ったうえで決定する必要がある.〔産婦の進歩75(1):51-56,2023(令和5年2月)〕</p>

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