弥生収穫具の探索 : 平川市大光寺新城跡、 井沢(1) 遺跡出土剥片石器の使用痕分析

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タイトル別名
  • Exploring harvesting tools of the Yayoi Culture : Use-wear analysis of stone tools from the Daikoji-shinjoato and the Izawa (1) sites, Aomori, Northern Japan
  • 弥生収穫具の探索 : 平川市大光寺新城跡、井沢(1)遺跡出土剥方石器の使用痕分析
  • ヤヨイ シュウカクグ ノ タンサク : ヒラカワシダイヒカリジ シン シロアト 、 イサワ(1)イセキ シュツドハクカタ セッキ ノ シヨウコン ブンセキ

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説明

本州島東北部北半部の弥生文化では農業の証拠は多数見つかってきてはいるものの、穀物の収穫具は依然として明確にはなっていない。これまで、水田遺跡から出土した剝片類のなかに収穫具が含まれていることは指摘されてきてはいるがそうした資料はきわめて少なく、この地域の収穫具を吟味する余地はまだ多分に残されている。本研究では、弥生文化期の収穫具を明らかにすることを目的として、青森県平川市に所在する大光寺新城跡遺跡(総数38点)および井沢(1)遺跡(総数36点)から出土した剝片石器の使用痕分析(高倍率法)を実施した。その結果、層位および出土土器からみて弥生文化期に属する可能性が高い石器のうち、大光寺新城跡遺跡では石匙6点、削器2点に、井沢(1)では石匙2点 削器1点に、イネ科植物との接触を示すポリッシュ(使用痕光沢面)が確認された。ポリッシュの分布や線状痕の方向は、これらが穂刈りや穂摘みの動作で利用された収穫具である可能性を示唆していた。弥生文化期の石匙や削器は穀物の収穫具としてこれまであまり注意されてこなかったが、今後はその可能性を積極的に考慮したうえで機能・用途論的検討を行う必要がある。

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