北海道における幅広有茎尖頭器石器群の位置づけ

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  • On the lithic assemblages with wide-stemmed projectile points in Hokkaido, Japan
  • ホッカイドウ ニ オケル ハバビロユウケイ セントウキ セッキグン ノ イチズケ

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抄録

更新世末 (19~11.5ka) の日本列島における尖頭器・有茎尖頭器の変遷を把握していくうえで、北海道での晩氷期以前に帰属する尖頭器・有茎尖頭器石器群の確認は、重要な課題となっている。石器群としての型式組成や製作技術、帰属する年代的位置について検討が可能なものとして、本稿では幅広有茎尖頭器石器群を取り上げる。幅広有茎尖頭器石器群は、ピリカ遺跡D地点、白滝18遺跡、上白滝8遺跡で確認されている。これらの石器群では、粗い調整加工が両面で実施されている有茎尖頭器と、石刃や剥片を素材とし、調整加工が部分的に限定されて実施されている有茎尖頭器が組み合わさって確認されている。薄手で扁平な原石から平坦な調整加工によって尖頭器が製作されているものとともに、厚手の原石を利用して、石刃や縦長の剥片が剥離された後、求心状の剥離によって円盤状の原形がもたらされ、有茎尖頭器へと変形されていたものが確認できた。また石核から剥離された石刃や縦長の剥片も有茎尖頭器の素材となっていた。ピリカ遺跡D地点での年代測定値をふまえると、これらの石器群は晩氷期以前に位置づけられる可能性が高い。幅広有茎尖頭器石器群の位置づけの意義を、北東アジアから北アメリカにかけての更新世末の人類の集団動態との関連で議論する。

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