外傷性窒息により死亡した自転車乗員の一剖検例

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  • Traumatic asphyxia death in a bicyclist: an autopsy case

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外傷性窒息により死亡した自転車乗員の剖検事例を報告する.症例は15歳の女子,自転車に乗車し空き地を走行中,空き地に駐車するため後進する大型トラックの後部と衝突した.死者は自転車から転落し,地面と大型トラックの底面に取り付けられたスペアタイヤの間に挟まれ死亡した.翌日司法解剖が施行された.外表所見では,頭部,顔面,頚部,胸部上前面,両上肢にうっ血と,左右眼瞼結膜下及び口腔粘膜下に多数の溢血点を認めた.内景所見では,急死の所見,左第2から第5肋骨及び右第5から第7肋骨の骨折,軽度の肝挫傷,胸腹部圧迫による骨盤骨折を認め,死因は外傷性窒息と診断した.自動車衝突事故における外傷性窒息では,歩行者や車外放出された乗員の車両底面による圧迫,車両の陥凹に伴う乗員の圧迫などが知られているが,自転車乗員の車両衝突事故による外傷性窒息は報告されていない.本事例は,自転車乗員の衝突事故死例を経験した際に,外傷性窒息の可能性を検討すべきことを示唆している.

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