異時性肝小腸移植という治療選択と課題

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<p>【背景】腸管不全患者の予後を規定する合併症の一つに肝障害があり、重症例では肝小腸移植が必要となる。しかし、わが国における脳死肝小腸同時移植はallocation systemからも現実的には困難であり、また、composite graftとして移植することも不可能であるため手技的優位性も感じにくい。わが国におけるこれまでの肝小腸移植はほぼ異時性移植であり、当科の経験症例からその課題について検討する。</p><p>【症例】症例は8歳10か月、体重11kgの女児。1歳時に微絨毛封入体病と確定診断され、TPN管理下においても体重は-3SD、身長は—5SDで推移した。7歳頃から肝障害の進行とともに出血傾向や病的骨折が出現。8歳9か月時にMELDスコア19点、小腸はstatus 2で脳死肝小腸同時移植の登録をしたが、急激な肝不全の進行により父親をドナーとする生体肝移植を施行、現在、TPN管理継続下に異時性脳死小腸移植待機中である。先行した肝移植において、のちの小腸グラフトを門脈系へ吻合することを念頭にduct-to-ductでの胆道再建を行った。現在、グラフト肝機能は保たれているが、著明な脂肪肝を呈している。</p><p>【結語】脳死肝小腸同時移植推進の議論と並行して、異時性肝小腸移植の治療戦略について、特に、先行移植すべき臓器選択とドナー選択、想定される手術手技と容認でき得る移植間隔など検討しておくべき課題は多い。</p>

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