ドナー・レシピエントのサイズミスマッチが膵臓移植に与える影響

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<p>【背景】膵臓移植の主な合併症の一つがグラフト血栓症であり、早期グラフト廃絶のリスクとなる。血栓形成に関わる要因の一つである「血流の停滞」を膵臓移植において考えると、グラフトおよびグラフト門脈の圧迫、屈曲等による物理的要因が考えられる。今回、この物理的要因がドナー・レシピエント(D/R)のサイズミスマッチに起因し、グラフト予後に関与するとの仮説を立てた。</p><p>【対象と方法】2001年から2020年12月までの本邦膵臓移植登録データ438例を対象とした。D/Rサイズミスマッチと関連する因子として、身長、体重、体表面積 (BSA)、D/R BSA比とした。BSAの算出にはDuboisの式を用いた。血栓症による早期膵グラフト廃絶に関わる因子をCox比例ハザードモデルにより解析した。</p><p>【結果】多変量解析ではドナー体重 (p=0.02)、レシピエント低身長 (p=0.02)、ドナーHbA1c (p=0.02)が血栓症による早期膵グラフト廃絶に関わる独立予後規定因子であった。仮想膵グラフトサイズとして、膵グラフト重量と最も強い相関を認めたドナーBSA(Spearman順位相関係数=0.63, p<0.01)で同様の解析を行ったところ、D/R BSA比 (p<0.01)、ドナーHbA1c (p=0.02)が独立予後規定因子であった。D/R BSA比の血栓症による早期グラフト廃絶に対する予測能はROC解析でAUC : 0.65, cut-off値は1.09であった。制限3次スプライン曲線ではD/R BSA比とグラフト血栓症発症に正の相関を認めた。</p><p>【結語】膵臓移植においてD/Rサイズミスマッチは血栓症による早期グラフト廃絶のリスク因子であり、レシピエントの体格が小さい場合はより注意が必要である。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s295_3-s295_3, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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