当科での膵移植後真菌症の検討

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<p>【背景】膵移植後の真菌感染症は臓器生着率、患者死亡率に相関するとされる一方で、抗真菌剤の予防投与を支持するエビデンスは限られており、全例予防投与を行うことに対してのコンセンサスは得られていない。</p><p>【方法】当科ではこれまで膵移植患者に対する抗真菌薬予防投与を行っておらず、移植後の真菌症発症率を検討した。対象は2015年から2022年4月までに当科で行った膵移植患者47例とし、真菌症の定義は術後半年以内に「β-D-グルカン陽性」または「培養で真菌陽性」で、かつ臨床症状があり真菌症として加療したものとした。</p><p>【結果】47例中10例(20%)が真菌症と診断された。移植後から発症まで期間は中央値13日(4-113日)であった。真菌症の発症と術後半年以内の移植膵機能廃絶とは有意に相関していた(P<.001)。臓器保存液の培養では31例中1例(2%)が、ドナー十二指腸液培養では17例中12例(71%)がカンジダ陽性であった。いずれかがカンジダ陽性であった13例中4例(31%)が、術後真菌症をきたしたのに対して、どちらも培養陰性であった5例は真菌症を認めなかった(P=.082)。</p><p>【結語】膵移植後真菌症は術後早期に発症し、その後の移植膵機能廃絶と有意に相関していた。また真菌症発症のリスク評価に臓器保存液と十二指腸液培養が有用である可能性が示唆された。</p>

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