小児肝移植における慢性拒絶反応症例の検討

DOI
  • 清水 誠一
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 阪本 靖介
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 福田 晃也
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 内田 孟
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 岡田 憲樹
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 中尾 俊雅
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 児玉 匡
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 小峰 竜二
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 羽賀 千都子
    国立成育医療研究センター 病理診断部
  • 中野 憲之
    国立成育医療研究センター 病理診断部
  • 義岡 孝子
    国立成育医療研究センター 病理診断部
  • 笠原 群生
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター

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抄録

<p>【緒言】肝移植後の慢性拒絶反応(CR)はグラフト予後に影響するが、未だ不明なことが多く、小児肝移植後のCRについて文献的考察を加えて報告する。</p><p>【対象】2005年11月以降当科で小児生体肝移植を施行し、術後1年以上経過して肝生検で病理学的評価をし得た370例(移植時月齢9.8(1-144))を対象とした。CRの診断はBanff criteriaに準拠した。</p><p>【結果】病理組織学的検討でearly CRと診断された症例は38例(10.3%)であった。原疾患は胆汁うっ滞性疾患16例、急性肝不全6例、代謝疾患5例、移植後グラフト不全3例、その他8例であった。診断までの期間の中央値は73.6か月(15 - 168)であり、移植後5年以内にearly CRと診断された症例は16例(42.1%)、5年から10年が12例(31.6%)、10年以降が10例(26.3%)であった。early CR症例に対する免疫抑制療法強化の内訳は、単剤によるカルシニューリン阻害剤増量が11例、2剤併用が10例、3剤併用が11例、4剤併用が6例であった。治療期間の中央値は27.8か月(2.7 – 94.7)で、治療後も11例では線維化および萎縮の進行を認めた。すでに4剤併用している2例以外はmTORiやMMF追加などの更なる免疫抑制療法強化をおこなったが、3例はlate CRに進行し、グラフト不全で再移植に至った。early CR診断から再肝移植までの期間は、21か月、101か月、102か月であった。</p><p>【結語】early CRの診断後に免疫抑制療法強化によって萎縮や線維化進行が止まる症例とlate CRに進行する症例が存在するため、慎重な免疫抑制管理と定期的な肝生検評価が必要である。 </p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s330_1-s330_1, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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