糖尿病腎移植レシピエントに対して肥満減量手術を施行した1例

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抄録

<p>【緒言】肥満は慢性腎臓病・心血管系疾患のリスクであり、腎移植患者においても移植腎機能低下のリスクになる。近年日本でも肥満減量手術が保険適応となっており、糖尿病腎移植レシピエントに対して肥満減量手術を経験したので報告する。</p><p>【症例】54歳女性、原疾患は糖尿病性腎症。2014年に大阪市立大学医学部附属病院で血液型不一致の生体腎移植術を施行され外来通院中であった。合併症として糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、高度肥満(体重103kg, BMI 36)を認めていたが、特に糖尿病のコントロールがHbA1c 8.5%と不良であった。2020年X月に減量手術を検討され南大阪病院肥満外来受診。半年間の肥満外来通院を経て、2021年Y月に肥満手術目的に入院。入院時の体重は99kg, BMI 34, S-Cre 1.54mg/dL, HbA1c 7.1%で、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術を施行した。特に周術期合併症は認めずに体重減少を認め、術後28日で退院。術後の移植外来で脱水による腎機能悪化(S-Cre 2.04mg/dL)を認めたが、水分摂取を促進することで改善した。術後2ヶ月時点で体重は87kg, BMI 30, S-Cre 1.34mg/dL, HbA1c 6.7%となり、腎機能の改善、尿蛋白の減少、インスリン投与量の激減を認めた。本邦では腎移植患者に対する肥満減量手術はほとんど報告がないことから周術期の注意点なども含めて今回の症例を報告する。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s370_3-s370_3, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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