教室における肝グラフト採取術の変遷(小開腹併用から完全腹腔鏡下への取り組み)

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抄録

<p>【背景】生体肝ドナーは、肝提供そのもののリスクに加えて、創に対する愁訴が約20%と多い。教室では安全を担保しつつ創を最小限にする取り組みとして、腹腔鏡下手術手技を導入し、2009年から2015年に研究費で小開腹併用腹腔鏡下肝グラフト採取術を行ってきた。今回、さらなる取り組みとして、完全腹腔鏡下手術手技を導入した。</p><p>【症例1】ドナーは20代男性。外側区域グラフト。SMA-RHAの他に胆道系を含め破格なし。ドナーに、開腹と完全腹腔鏡下の十分な説明を行ったところ、完全腹腔鏡下による肝提供を希望された。6ポートで施行。肝門遮断のテーピングを留置し、肝生検後、左肝動脈、左門脈をテーピングし、CUSAで肝離断した。胆管切離後、臍部皮切を7cmまで延長し、グラフト採取に備えた。動脈はhem-o-lockで、門脈と肝静脈は6mm幅のステイプラーで切離して、出血のないことを確認後に、臍よりグラフトを採取した。肝門部血流遮断は要せず。手術時間は411分、出血量は少量であった。【症例2】ドナーは30代女性。外側区域グラフト。血管、胆道に破格なし。完全腹腔鏡下による肝提供を希望された。症例1と同様に手術を行い、皮膚切開はグラフトサイズから6cmで、手術時間は372分、出血量は20mLであった。なお、以前行った小開腹併用では、左葉系で平均手術時間435分、平均出血量353分、創長8-10cmであり、完全腹腔鏡下で特に劣ることはなかった。</p><p>【結語】完全腹腔鏡下肝外側区域グラフト採取術は安全に施行でき、整容性に優れる。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s381_3-s381_3, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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