肝細胞癌に対する生体肝移植後の肺転移再発症例の検討

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<p>【はじめに】肝細胞癌の他臓器転移は肺転移が最も高頻度である。現在、移植後肺転移に対する手術療法を含めた治療効果については不明である。</p><p>【対象・方法】当科で成人生体肝移植を施行した750例から、肝細胞癌に対して生体肝移植を施行後に初回再発として肺転移再発を認めた14例を対象に、背景因子、肺転移治療内容・成績を検討した。</p><p>【結果】患者背景は、移植時平均年齢57歳、男/女:7/7例、背景肝はHCV/HBV/NASH/アルコール性肝硬変:11/1/1/1例、病理学的ミラノ基準内4例、新基準5-5-500内3例、腫瘍個数5個以上11例、平均最大腫瘍径4.1cm、低分化/中分化:9/5例、脈管侵襲あり/なし:10/4例だった。再発形式は、肺転移単独が10例で、肺転移と骨・肝・リンパ節・腹膜に再発した症例がそれぞれ1例ずつだった。移植後から再発までの期間は中央値1.3年(0.2-7.2年)だった。肺転移個数は1/2/3/多発:5/1/2/6例、平均肺転移最大径は1.0cm(0.4-2.1cm)だった。治療は、BSC が2例、化学療法 が4例(FP 2例、ソラフェニブ、レンバチニブ)、肺切除が8例(部分切除/区域切除/葉切除:5/1/2例)に行われた。肝移植後、再発後の生存期間中央値はそれぞれ3.2年(0.4-12.9年)、2.0年(0.2-9.6年)で、死亡11例(癌死10例、感染症1例)、生存3例(2.2、4.5、12.9年)だった。癌死した10例のうち5例は多発肺転移が主死因と考えられた。</p><p>【考察】移植後に肺転移再発を来した症例はミラノ基準外が多く予後不良だったが、繰り返しの肺転移切除で長期生存を得られている症例も存在した。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s384_2-s384_2, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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