日本語母語話者とイタリア人日本語学習者の比較研究

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書誌事項

タイトル別名
  • A Comparative Study of Native Speakers of Japanese and Italian Learners of Japanese as a Second Language: Acoustic Realizations of Rendaku Voicing in Compounds
  • ―複合語における連濁の音響的具現について―

抄録

<p>本研究は,イタリア語を第一言語とするとする日本語第二言語学習者の連濁の習得を分析するものである.イタリア語では歯茎摩擦音が有声音に先行する環境に生じている場合に有声音化し[z]として具現化される特性がある.本研究は,このイタリア語の特性が,イタリア語を第1言語とする日本語学習者の連濁の処理に対して影響するか否かという問いについて考究する.この目的のために,Levelt(1989)の発話モデルを仮定し, 歯茎摩擦音を含む4種類((1)実在語(語頭に無声歯茎摩擦音),(2)無意味語(語中に無声歯茎摩擦音),(3)無意味語(連濁適用),(4)実在語(連濁適用))の刺激語群を作成し,口頭で回答を求める実験を実施した.7人のイタリア人被験者と6人の日本人被験者から採取した録音データの持続時間の測定を行った結果,単独語である語基レベルで2群間に有意差が見られた.有声歯茎摩擦音/z/は単一の形態素内にある場合と第二要素の頭部にある場合との間で差は見られなかった.有声化されてできた[z]が無声音である/s/よりも短くなることが2群に共通する傾向であった.複合語の第二要素の頭部にある/z/についてL2学習者群は L1 日本語話者群と類似した傾向を示したが,被験者間の差が大きいことが観察された.これらの結果は, Levelt(1989)のモデルにおけるFormulatorからArticulatorの間でレキシコンとの情報の受け渡しの処理を行い発音器官の筋肉の駆動を指示するためのリソースの使用が習得のレベルに応じて変異しながら発達していくことを示唆していると考える.</p>

収録刊行物

  • 第二言語

    第二言語 21 (0), 71-87, 2022-12-15

    日本第二言語習得学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390013784258769152
  • DOI
    10.11431/secondlanguage.21.0_71
  • ISSN
    21870047
    1347278X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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