下唇への自傷行為がみられたJoubert症候群児の一例

DOI
  • 弘田 真実
    大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部
  • 藤代 千晶
    独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター障がい者歯科
  • 笠川 あや
    大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部
  • 安藤 早礎
    大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部
  • 岡本 由莉
    岡本歯科診療所
  • 齋藤 知子
    大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部 医療法人村内歯科医院
  • 村上 旬平
    大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部
  • 秋山 茂久
    大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部

書誌事項

タイトル別名
  • Joubert Syndrome with Self-mutilation of the Lower Lip : A Case Report

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抄録

<p>Joubert症候群は,小脳や脳幹の形成異常,知的能力障害,筋緊張低下,運動障害,新生児期の呼吸器障害などを呈するきわめてまれな疾患である.下唇への自傷行為がみられたJoubert症候群の一例を経験したので報告する.</p><p>症例:3歳2カ月男児.主訴:咬傷予防のマウスガードについて相談したい.障害名:Joubert症候群,知的能力障害(療育手帳A,最重度).現病歴:3歳0カ月時に,下唇を激しく咬み貫通創を生じたため,病院口腔外科で全身麻酔下に下唇縫合し,ソフトタイプマウスガードを上下顎に装着した.しかし,1カ月ほどで適合不良となり,当院紹介となった.</p><p>治療経過:経過観察としていたが,3歳7カ月時,下唇への自傷行為が高頻度にみられたため下顎のマウスガードを装着した.さらに3歳8カ月時,家族の希望で上顎のマウスガードを装着した.3歳10カ月時,下唇の咬傷が継続したため,下唇の巻き込み防止のため,下顎前歯部にコルベン状の豊隆を付与した下唇圧排除型のマウスガードを装着した.それ以降は新たな咬傷はみられない.</p><p>考察:本症例にみられた自傷行為の原因は,本人との意思疎通が困難であるため詳細は不明である.そのため今後,自傷再発の可能性が否定できない.したがって,患者や家族に対する継続的な観察と支援が必要と考えられる.</p>

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