イサブコナゾールにより誘導される病原糸状菌の形態変化に関する 動態的観察

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  • Dynamic Observation of Morphological Changes of in Pathogenic Molds Induced by the Antifungal Effects of Isavuconazole

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糸状菌による侵襲性真菌症の病態には菌糸の伸長による組織傷害が深くかかわっている.しかし,抗真菌薬により菌糸の細胞死が誘導される過程で生ずる形態変化についてはほとんど解析されていない.本研究では,イサブコナゾール(ISCZ)存在下で代表的な病原糸状菌であるAspergillus fumigatus およびRhizopus oryzaeを培養し,両者における菌糸形態に関する動的かつ詳細な観察を行った.この結果,両糸状菌の菌糸がISCZの作用により伸長停止,細胞膜の変性および細胞内基質の流動性の連続的低下を起こすことを確認した.さらに両糸状菌でみられた菌糸の経時的な形態変化の終末像である不整膨化や細胞の壁構造の破綻は,伸長停止した菌糸先端部で生じた変性した微小器官の凝集による細胞内基質流路の狭窄・閉塞による局所的な内圧上昇に起因すると推定された.Propidium iodide陽性化率で評価した生存活性の消失率は,試験した菌株でA. fumigatus で96.8%,R. oryzaeでは100%であり,以上の変化はISCZにより細胞死に向かう過程で誘導されるものと考えられる.

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