MRI にて大腿骨と腸骨に骨髄浮腫がみられた下肢の線状強皮症の 1 例

  • 佐藤 志帆
    岡山大学学術研究院医歯薬学学域皮膚科学分野
  • 梶田 藍
    岡山大学学術研究院医歯薬学学域皮膚科学分野
  • 山﨑 修
    岡山大学学術研究院医歯薬学学域皮膚科学分野 島根大学医学部皮膚科
  • 中原 龍一
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生体機能再生・再建学講座整形外科
  • 森実 真
    岡山大学学術研究院医歯薬学学域皮膚科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Linear Scleroderma of the Lower Limb with Femoral and Iliac Bone Marrow Edema on Magnetic Resonance Image
  • MRI ニテ ダイタイコツ ト チョウコツ ニ コツズイ フシュ ガ ミラレタ カシ ノ センジョウ キョウヒショウ ノ 1レイ

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説明

<p>16 歳,男性。中学生時は陸上部に所属しており,高校入学後も筋力トレーニングを続けていた。X 年 7 月トレーニング後に左大腿中央部の疼痛を自覚し,同時期に左下肢の褐色斑を指摘された。近医の MRI で左大腿骨転子部に骨腫瘍の可能性を指摘され,当院整形外科を紹介され受診した。当院の MRI で左股関節周囲の筋肉と皮下の浮腫性変化,左腸骨の骨髄浮腫,脂肪抑制T2 強調画像で左大腿骨大転子部と近位骨幹端から骨幹にかけての高信号がみられたが,腫瘍性変化はなく経過観察となっていた。X + 1 年 1 月左下肢の皮膚変化を主訴に当科を紹介され受診した。初診時には左臀部から大腿にかけての皮膚硬化と,左大腿から下腿にブラシュコ線に沿った茶褐色斑がみられた。CK 944 U/l,IgG 2229 mg/dl,抗 ssDNA 抗体 122 AU/ml と異常値を認めた。病理組織学的には真皮に肥厚した膠原線維が増生しており,皮下脂肪織内の線維化がみられた。真皮血管周囲から皮下脂肪織内にリンパ球,形質細胞が浸潤していた。線状強皮症と診断し,MRI にて進行性の深部病変があり,機能障害や成長障害を起こしうる皮膚病変と考え,プレドニゾロン 30 mg/日から開始した。皮膚硬化は徐々に改善し,抗 ss-DNA 抗体価は低下傾向となった。骨髄浮腫は関節リウマチでしばしばみられるが,線状強皮症では稀である。骨髄浮腫の診断,病勢の判断には MRI が有用であった。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 84 (6), 521-525, 2022-12-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (10)*注記

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