VEXAS症候群に対するルキソリチニブの治療選択肢としての可能性

DOI
  • 高橋 徳幸
    名古屋大学大学院医学系研究科地域医療教育学寄附講座 名古屋大学医学部附属病院総合診療科
  • 中島 麻梨絵
    名古屋大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学

書誌事項

タイトル別名
  • Ruxolitinib as a therapeutic option in VEXAS syndrome: a case report

抄録

成人発症の新規自己炎症性疾患としてVEXAS症候群が2020年に報告された.この疾患は,X染色体上に位置するUBA1遺伝子の体細胞変異で生じ,UBA1遺伝子に規定される41番目のアミノ酸であるメチオニンの置換(p.Met41)によって病原性を有する.臨床症状および所見は,発熱に加えて骨髄系および赤芽球前駆細胞の空胞,大球性貧血,皮膚の好中球性炎症,肺浸潤影,耳や鼻の多発軟骨炎,深部静脈血栓症,全身性血管炎など多彩である.その一方で,有効な治療法は高用量の副腎皮質ステロイド以外は明らかではない.ヤヌスキナーゼ阻害剤のルキソリチニブは,VEXAS症候群の治療選択肢として着目されている.我々は臨床症状の類似性に加えてUBA1遺伝子変異陽性から本疾患と診断した50歳台の日本人男性に対してルキソリチニブを使用し,臨床的に変化した所見を同薬使用の有無によって比較検討した.ルキソリチニブ内服により各日の最高体温中央値の低下(非内服時38.9度,内服時38.6度)および炎症反応の改善がみられたが,造血機能障害に基づく輸血依存が進行した.ルキソリチニブ内服時も解熱や症状の完全な消失には至らず,プレドニゾロン内服量はルキソリチニブ非内服時に比べて増えていた.以上よりルキソリチニブはVEXAS症候群の治療選択肢となる可能性があるものの,本報告ではルキソリチニブの治療効果を肯定するには不十分と考えられた.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390013795251521536
  • DOI
    10.34563/jsiadjournal.2.1_2
  • ISSN
    24357693
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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