物流データに基づく日本の食飼料供給システム及び畜産業セクターにおける過去40年間の窒素フローと窒素利用効率の解析

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  • Material flow data-based analysis on nitrogen flow and use efficiency in Japan’s food and feed supply system and livestock sector during the last four decades

抄録

<p>本研究では,日本の食飼料供給システムとその中の畜産業における窒素(N)フローの実態(1975~2015年)を,家畜のN排泄量原単位は使わず物流データに基づき算定し,当システムと畜産業を対象に窒素利用効率(NUE=生産物N/飼料・材料N)や農地を含む国内環境への排出N(=N収支)を求めた.この40年間,当システムのNUEは低下し(44.2%→40.5%),排出N(1.22~1.71 Tg-N y−1)の半分近くは畜産業由来だった.畜産業のNUEは低いが育種や給餌法の改良により上昇し(15.1%→17.4%),主な畜種別では,採卵鶏・ブロイラー・乳牛は向上,豚は横這い,肉牛のみが低下した.畜産業からの排出Nの90%前後は家畜飼養中に生じ,1990年以降,温室効果ガスインベントリ報告書の糞尿Nより0.08~0.10 Tg-N y−1大きくほぼ並行して減少した(0.76→0.60 Tg-N y−1).両者の差は主に飼料ロスNと考えられ,その発生率(10%前後)は食品ロスN発生率と同程度だった.屠畜体の内臓等可食副生物の食用は畜肉NUEの向上に有効だったが,消費者ニーズと生産効率を最優先する経営は家畜体の負担を増大させ,高い死廃率や内臓等廃棄率,抗生物質多用による薬剤耐性菌増大,遺伝的系統の画一化等を招き,リスク集中型管理を生んでいる.農地を含む環境へのN負荷削減には畜産業NUEの向上が不可欠であり,消費者理解の下,動物福祉に配慮した健康的な家畜飼養を進める必要がある.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390013806544971904
  • DOI
    10.20710/dojo.94.1_11
  • ISSN
    24240583
    00290610
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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