理科学習におけるブリッジングアナロジー方略の有効性についての実証的研究

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タイトル別名
  • An Empirical Study on the Efficiency of Bridging Analogies in Learning Science
  • リカ ガクシュウ ニ オケル ブリッジングアナロジー ホウリャク ノ ユウコウ

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説明

<p>Clement, J., Brown, D.E.等が提案したブリッジングアナロジー方略が日本の中学生の理科の学習にとって有効であるのか,またどのような問題点が存在するのかを検証し明らかにすることが本研究の目的である。中学校第3学年の生徒92名を対象に,作用・反作用に関する教材を取り上げブリッジングアナロジー方略を用いた学習を実施した。その結果,①「机の上に置かれた本に机から上向きの力が働くか」という問題に対して,半数以上の生徒は「上向きの力は働かない」というミスコンセプションを持っていた。②学習を行った後には,これらの生徒の約8割が「上向きの力が働く」と答えられるようになった。③学習が進むにしたがって日常的・直観的な説明をする生徒は減少し,物体の弾性に視点をおいた説明をする生徒が多くなっていった。力の相互作用性,物体のバネ的性質に注目することは力概念の形成にとって大切であり,説明の最終段階ではこのような視点を持った生徒は,正答者の3割強にまでなった。④この学習の半年後に行ったポストテストおよび類似問題テストでも,学習直後の正答率とほぽ変わらない結果を得ることができた。しかし,⑤力概念形成にとって大切なバネ的性質という視点を持って回答する生徒が半年後では半減し,逆に日常的・直観的な説明をする生徒の割合が3倍に増加した。このようなことから,ブリッジングアナロジーによる学習はミスコンセプションを持った生徒に対して,概念の変容を促すことが十分にできる方略であるといえる。しかし,学習後半年を経過した段階で力概念に関する視点に揺り戻しがみられた。このように問題戌はあるものの,理科の学習にとってブリッジングアナロジー方略を用いることは非常に有効であることが明らかになった。</p>

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