Secondhand Smoke Exposure Among Pregnant Women in Mongolia

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  • 疋田 直子
    九州大学大学院医学研究院保健学部門看護学分野

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抄録

喫煙は,様々な健康被害をもたらす公衆衛生上の大きな健康問題である.毎年,世界中で800 万人がたばこを原因とする病気で命を落としており,そのうちの100 万人は受動喫煙が原因であると言われている.受動喫煙には,「安全な曝露レベルはない」と言われていることから,たばこの煙への少しの曝露であっても避ける必要がある.世界の喫煙者の80%以上が低中所得国に居住しているが,モンゴル国では43.7%の人が喫煙者で,35.7%の女性が受動喫煙をしていると報告されている.妊娠中の受動喫煙は,妊婦と胎児両方の健康に影響を及ぼし,早産や死産,先天性の異常や,胎児発育の阻害,u母体の妊娠高血圧症候群のリスクを高めるなどの影響が報告されている.モンゴル国における非喫煙妊婦の受動喫煙率は44.8%であり,年齢が若い人,学歴が低い人,家庭内全室を禁煙にしていない人が,受動喫煙のリスクが高いことが報告されている.また,妊婦とパートナー(夫)の尿中コチニンレベルが相関していることからも,妊婦はパートナーまたは同居している家族が喫煙しているたばこから受動喫煙していることが考えられる.受動喫煙予防のための対策として,法律の制定やマスメディアを使ったキャンペーン,たばこ広告の禁止,健康への害の表示,たばこ税の増税といった対策が取られている.また,医師のアドバイス,ビデオやパンフレットなどの教育媒体を用いた健康教育,喫煙するパートナーとの交渉の仕方のロールプレイ等の介入の効果が報告されている.これらの研究データは,社会全体の受動喫煙の害に対する意識を高め,妊娠中の受動喫煙の曝露を減らすことにつながると思われる.モンゴル国においても,妊婦の受動喫煙がどの程度健康に影響を及ぼしているのかを明らかにすること,また,受動喫煙を予防するための介入の効果を検証する必要がある.

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