カズオ・イシグロの「ある家族の夕餉」における語りの構造

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  • カズオ ・ イシグロ ノ 「 アル カゾク ノ ユウゲ 」 ニ オケル カタリ ノ コウゾウ

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本稿は、カズオ・イシグロの短編小説「ある家族の夕餉」(“A Family Supper”)を取り上げ、その曖昧性の問題を物語の特徴的な語りの構造から再検証するものである。この物語においてその曖昧性ゆえに長年議論の的となってきた点は、父親が家族にフグを振る舞い、一家心中を図ったのかどうかという問題である。この問題点を検証するために、まず、この心中説について先行研究の足跡を辿りながら再解釈を試みる。次に、イシグロの小説の中心的なテーマである記憶の観点から、「物語の現在」を軸とした語りの構造を浮かび上がらせ、作品の曖昧性を見直してゆく。また、この短編小説と創作時期が近い『遠い山なみの光』(A Pale View of Hills)の冒頭の語りの構造との類似性についても触れる。

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