体位変換による腹部超音波検査が有用であった心房細動カテーテルアブレーション後の上腸間膜動脈症候群の1例

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タイトル別名
  • A case of superior mesenteric artery syndrome after atrial fibrillation catheter ablation in which abdominal ultrasound was useful

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抄録

<p>症例は58歳男性.心房細動に対するカテーテルアブレーション(radiofrequency catheter ablation:RFCA)後から食欲不振,体重減少(10 kg/2か月),繰り返す嘔吐を認め当科受診.CTで著明な胃拡張と十二指腸水平脚の部分的拡張および虚脱を認めた.十二指腸水平脚は上腸間膜動脈(superior mesenteric artery:SMA)と大動脈(aorta:Ao)により圧迫され,SMA症候群と診断した.体位変換を活用した超音波検査でSMA-Ao間の距離は,大きく変化し,十二指腸の圧迫は左側臥位で最も軽減された.入院の上,モサプリドクエン酸塩投与,分割食,食後左側臥位の指導により嘔吐は消失し,食事も全量摂取可能となり退院した.近年,SMA症候群の一因に,心房細動に対するRFCAが指摘されている.RFCAによる焼灼エネルギーが心臓外に放射され,胃周囲迷走神経叢の損傷により胃の蠕動機能障害が起こり,食思不振から体重減少ひいてはSMA症候群を生ずるとされる.本例では体位変換による超音波検査でSMA周囲腸管を観察したところ,左側臥位でSMAが大きく偏位するに伴い,十二指腸狭窄部が開放される状態をリアルタイムに観察できた.体位変換を活用した超音波検査は,SMA症候群の診断および最適な発症予防体位の同定に有用である.</p>

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 50 (2), 137-141, 2023

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (2)*注記

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