診断に苦慮した黄色肉芽腫性虫垂炎の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of xanthogranulomatous appendicitis that was difficult to diagnose

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抄録

<p>症例は20歳代,女性.8年前から潰瘍性大腸炎の既往があり軽度の右下腹部痛を認めたため,定期検査も含めて超音波検査を施行した.虫垂の根部は径3 mmと正常径であったが盲端部に限局した長径25 mm,短径10 mmの腫大を認めた.腫大部の層構造は明瞭で粘膜面の不整や内腔の刷毛状エコー,石灰化は確認できなかった.血流シグナルは捉えられなかった.周囲脂肪織の炎症所見は目立たず腹水や腫大リンパ節は確認できなかった.CT/MRIでも同様の所見であり虫垂粘液嚢腫が疑われ外科手術を施行した.病理所見では組織学的に虫垂粘膜上皮下に泡沫状組織球の集簇とリンパ球浸潤からなる黄色肉芽腫性反応を認め,黄色肉芽腫性虫垂炎と診断された.特異的な所見がないことと,非常に稀な病態のため術前に診断することは困難であるが,腫瘍性病変以外で虫垂にこのような特殊な炎症が起こることがあるということを念頭にいれる必要性があると思われた.</p>

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 50 (2), 121-125, 2023

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (18)*注記

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