現職教員への方言教育

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タイトル別名
  • Dialect education to the present post teacher
  • ゲンショク キョウイン エ ノ ホウゲン キョウイク

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抄録

本稿では、現職教員への方言教育の必要性を主張し、その指導例を紹介する。現職教員とは、主に、義務教育学校の現役教員を指し、国語の中学校教諭及び高等学校教諭の教員免許状を有しない者を想定している。現職教員への方言教育とは、学校教育において方言を扱う際に指導者として身につけていたい方言に関する基礎的な知識や教養を養う教育をいう。方言に関する基礎的な知識や教養の具体的な内容は、方言の価値やその重要性の認識、方言と共通語との役割やそれぞれのよさの認識、方言を言語体系としてとらえること等である。現職教員の方言に対する知識や教養、意識、感覚は、教員免許状取得以前の大学での教員養成課程を経ても、また、現職教員として児童生徒へ指導を行うという経験を経ても、個人的に特別に関心が高くない限り、それほど高くはなく一般的であるという実態がある。児童生徒への方言教育の目的は3つあるが、いずれも方言を通して国語教育の目的を達成しようとするものである。指導者である現職教員が方言に関する基礎的な知識や教養を有していれば、児童生徒への方言教育は「方言で教える」という視点で国語教育として成立する。そのために現職教員への方言教育が必要なのである。また、各学校における児童生徒への方言教育の質は、教育課程の編成と実施の2段階において向上する機会があり、そのカギを握るのは現職教員の方言(教育)に対する知識や教養である。そのため、現職教員の方言(教育)に対する知識や教養を高める最も有効な手立てである現職教員への方言教育は不可欠なのである。筆者は、教員免許状更新講習において、現職教員への方言教育を実施している。国語科における「方言と共通語」の学習と図画工作(美術)の学習とを融合した『方言かるたづくり』を学習指導に取り入れる方法を現職教員に指導するものである。その現職教員への方言教育実践は、「1.導入」「2.方言概説」「3.群馬県方言の位置づけとその特徴」「4.日本人の方言のとらえ方の変化」「5.方言と教育」の5場面に分かれている。この実践を指導例として、使用するスライドの一部を紹介しつつ報告する。

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