地籍整備の遅延問題に対する考察

  • 金森 紘代
    京都大学大学院 工学研究科都市社会工学専攻
  • 藤井 聡
    京都大学大学院 工学研究科都市社会工学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • A REVIEW ON THE REASONS FOR DELAY IN THE CADASTRAL SURVEY OF JAPAN

抄録

<p> 土地の境界と所有者を明らかにする「地籍」の整備は,災害からの早期復旧,都市開発や公共インフラ整備の迅速化に大きく貢献する.しかし市町村主体で行われてきた地籍調査事業の進捗率には大きな地域差があり,日本全域では対象面積の半分を超えたにすぎない.地籍整備を推進すべく,国は様々な施策を打ち出しているが,それらは現場の作業効率促進に主眼がおかれ,不動産登記制度を母体とするわが国の地籍整備遅延の本質的な問題について,十分な議論がなされていない.本稿では,既往調査や過去の記事,国会・市町村議会の会議録から得られた知見を整理し,総合的に考察した結果,現行法制度ならびにその実質運用,そして1951年の事業開始時より幾度となく指摘されてきた地籍調査事業への国予算の不足が,整備遅延の原因であることを明らかにする.</p>

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参考文献 (8)*注記

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