4 フェミニストカウンセリングの心理的ケアによる平和運動——ウィメンズカウンセリング京都における性暴力被害者のためのアドボカシー——

DOI
  • 相方 未来
    同志社大学大学院博士課程後期=フェミニスト平和研究

書誌事項

タイトル別名
  • Psychological Treatment of Feminist Therapy as a Peace Movement: Women’s Counseling Kyoto’s Advocacy for the Victims of Sexual Assault

抄録

<p>本研究ノートは、心理の専門家の立場からジェンダー分析を用いて被害者の代弁・擁護を行い、性差別社会の変革を目指すフェミニストカウンセリング(FC)のアドボカシーをフェミニスト平和運動と考え、その実践例を紹介する。ここで取り上げるフェミニスト平和運動とは、ベティ・リアドン(Betty A Reardon)の議論を基にしている。リアドンは、戦争システム、つまり武力で秩序の維持を図る社会制度は、軍事主義と性差別の相互依存関係で成り立っているとしている。であるので、性差別の根絶は脱軍事主義や平和を目指す上での課題であり、それに取り組む運動はフェミニスト平和運動と言える。</p><p>日本社会や司法の根強い性差別の影響で、性暴力やドメスティック・バイオレンス(DV)に関する裁判では、被害者の視点が理解されず、加害者の責任追及が不十分なケースが多い。FCのアドボカシーは、このような場合に実施される。</p><p>本稿では、京都府を中心に活動するFCグループ、「ウィメンズカウンセリング京都」が取り組んだ裁判でのアドボカシーを四例、紹介した。三例は意見書提出や専門家証言で、それぞれの実践を見る際に「ナラティヴ・アプローチ」、「継続した性暴力」、「迎合メール」という概念に注目した。残る一例は、DV裁判支援のネットワーク形成である。心理的ケアの知見を持つカウンセラーらの実践が、フェミニストの視点からの平和・安全保障概念をより深化・発展させる可能性を示唆した。</p>

収録刊行物

  • 平和研究

    平和研究 59 (0), 119-138, 2023-03-31

    日本平和学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390014093884828416
  • DOI
    10.50848/psaj.590110
  • ISSN
    24361054
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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