ハワイの自然を巡る対立 : 研究者と住民の異なる自然観

書誌事項

タイトル別名
  • Conflict over Images of “Appropriate Nature” for Hawaiʻi : Different Views among Researchers and Residents

抄録

ハワイ州はアメリカ合衆国の中で最も固有種が生息する割合が高い、豊かな生態系を有する土地である。これらの希少な種は、絶滅の危機に瀕しており、20 世紀後半以降多くの自然保護団体がその保護のために活動してきた。自然保護団体の活動が目立ち、ハワイの地元の人々、とりわけ地域の自然に身近に関わってきた地元の動物を狩猟する住民が、保護活動に抵抗してきたことはあまり知られていない。生態系の保護が国際的な関心事となり、その対応が急がれる中、住民の抵抗は充分な注目を浴びてこなかった。近年こうした優先順位のつけ方が問題視されつつある。本論文では、ハワイの動物の導入と排除の歴史を踏まえ、自然保護団体と地元のハンターの対立に焦点をあて、後者から見たハワイのあるべき自然像を考察する。ハンターが外来種の駆除に反対する背景に、西洋との接触以来続く欧米からハワイに対する支配の構造、セトラー・コロニアリズムへの抵抗があることを指摘する。

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