第二の誕生 : 「出生性」についての研究ノート

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  • The Second Birth : Research Notes on“Natality”

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抄録

オランダの教育学者ランゲフェルトは、来日講演において、強制収容所に送られたあるユダヤ人少女の絶望と回復のエピソードを語っている。本研究ノートでは、ランゲフェルトが語るこのユダヤ人少女のエピソードが含意するものを、ユダヤ人思想家アーレントの「出生性(Natality)」の概念から読み解く。アーレントによると出生とは始まりである。さらに世界のうちに生まれることが第一の誕生(始まり)であるとするならば、世界のうちで行為することは第二の誕生(始まり)のごときものである。われわれ行為する人間は、自らの責任において世界に関わってゆくこと、自らのイニシアティブにもとづいて何か新しいことを始めることによって、われわれがこの世に生まれたという誕生(始まり)の事実に応答している。そして子どもたちにそのことを発見させるべく寄り添い援助することこそが、ランゲフェルトの考える教育者としての使命である。

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