B6C3F1/Crlマウス及びC57BL/6Jマウスにおけるスリットランプ及び双眼倒像鏡を用いた眼科学的検査の背景データ

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  • Background data of ophthalmological examination using slit-lamp and binocular indirect ophthalmoscopes in B6C3F1/Crl and C57BL/6J mice

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抄録

<p>毒性試験において実施される眼科学的検査では、被験物質の影響による変化を自然発生性病変と鑑別することが重要であるが、汎用されるマウス系統の背景データに関する報告は少ない。今回、毒性試験に用いられるB6C3F1/Crlマウス及びC57BL/6Jマウスの雌雄各50例について、6週齢時から19週齢時にかけてスリットランプ及び双眼倒像鏡を用いた眼科学的検査を実施し、背景データを収集した。さらに、検眼鏡的所見が観察された代表例について、21週齢時に眼球を採材して病理組織学的検査を実施した。B6C3F1/Crlマウスでは、スリットランプ検査で10週齢時以降に水晶体の後嚢混濁(19週齢時に雄6.0%、雌4.0%)が認められた。双眼倒像鏡検査では19週齢時に眼底の暗褐色斑(雄2.0%)が認められた。一方、C57BL/6Jマウスでは、スリットランプ検査で6週齢時から虹彩前癒着(雌2.0%)、水晶体の核混濁(雄16.0%、雌22.0%)及び後嚢混濁(雄34.0%、雌68.0%)、水晶体後嚢の褐色斑(雄8.0%、雌2.0%)、並びに硝子体の褐色浮遊物(雄4.0%、雌10.0%)が認められた。水晶体の混濁性変化は加齢に伴って発症頻度が増加し、19週齢時には前嚢の混濁(雄2.0%)及び不整(雄14.0%)、並びに後皮質の混濁(雌8.0%)も認められた。双眼倒像鏡検査では、6週齢時から眼底の赤色斑(雄2.0%)及び白色斑(雄2.0%)が観察され、10週齢時に認められた脱色素斑(雄14.0%、雌18.0%)は19週齢時では加齢に伴って増加した(雌雄ともに38.0%)。病理組織学的検査では、水晶体の後嚢混濁を呈した眼球で水晶体後嚢の破裂が確認された。以上、B6C3F1/Crlマウス及びC57BL/6Jマウスにおけるスリットランプ及び双眼倒像鏡を用いた眼科学的検査によって、6週齢時から19週齢時の自然発生性眼病変の発生頻度及びその系統差が明らかになった。本研究の結果は、マウス毒性試験での眼科学的検査で観察される所見の投与起因性を判断する際に有用と考えられる。</p>

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