<i>Gemella haemolysans</i>による眼窩骨膜下膿瘍の1例

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  • A case of orbital subperiosteal abscess caused by <i>Gemella haemolysans</i>

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抄録

<p>Gemella haemolysansG. haemolysans)は通性嫌気性グラム陽性球菌で,ヒトの口腔,咽頭,上気道,消化管,泌尿生殖器の常在菌である。細胞壁が薄いためGram染色では脱色されることがあり同定が困難であるとされる。今回,G. haemolysansが起因菌と考えられた眼窩骨膜下膿瘍の症例を経験したので報告する。症例は79歳女性,既往歴に鼻外副鼻腔手術がある。義歯の調整後から左頬部,眼瞼の発赤腫脹,疼痛と見えにくさが出現し近医眼科より当院眼科へ紹介受診となった。視力低下と眼圧上昇認め,顔面単純CTで鼻性眼窩内合併症を疑われ当科受診となった。副鼻腔造影CTで術後性上顎嚢胞および歯齦部,眼窩下壁骨膜下の膿瘍形成を認めた。歯齦部を穿刺・切開排膿したところ眼圧の低下,視力の改善を認めた。緊急入院のうえPIPC/TAZ投与を開始したが,入院翌日に眼瞼腫脹の増悪と眼圧の再上昇を認めたため,全身麻酔下,内視鏡下に眼窩骨膜下膿瘍の切開排膿,経鼻眼窩減圧術を施行した。術後速やかに眼瞼腫脹と視力低下,眼圧上昇は改善し,術後5日目に退院した。歯齦部の膿瘍検体からG. haemolysansを検出した。鼻性眼窩内合併症は,保存的治療に抵抗性の場合,早急な外科的治療が必要である。</p>

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