わが国の食品ロス削減による国際食料市場を通した環境・経済・社会への影響
書誌事項
- タイトル別名
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- Environmental, Economic and Social Impacts of Reducing Japanese Food Loss and Waste in Relation to Global Food Markets
抄録
<p>わが国では食品ロスの発生量を2030年度までに2000年度比で半減させることが目標となっているが,その国際食料市場を通した環境・経済・社会への影響については不明な点が多い。わが国は食料供給の多くを輸入に依存しているため,食品ロスの削減は国内外において食料生産を減少させ経済的な損失をもたらす可能性がある一方で,食品ロスに起因する天然資源の浪費や温室効果ガスの過剰な排出を抑制し,栄養不足人口の減少につながる可能性もある。そこで本研究では,2015年の社会・経済状況を前提として,わが国が主要な貿易品目について食品ロスの半減目標を達成し,結果として同年の食品ロス発生量646万tの10.1%を削減できた場合の影響について食料貿易モデルを用いて推定した。分析の結果,世界全体の食料生産額は国際価格換算で27.0億ドル減少すると推定された一方で,農業生産時の土地資源と水資源の利用量は,農作物の生産量の減少により世界全体で各々3万7,800 ha,7,870万m3抑制されると推定された。また,食料生産に起因する温室効果ガスの排出量も世界全体で94.0万t CO2eq減少することが示された。さらに,世界全体の食事エネルギー供給量は,わが国が削減した食品ロスの食事エネルギー換算量の43.9%に相当する8.62×1011 kcal増加し,これにより世界全体で栄養不足人口が59.1万人減少すると推定された。これらの結果から,わが国の食品ロスの削減対策は,国際食料市場を通して経済面では負の影響をもたらす可能性がある一方で,環境面と社会面における課題を同時に解決する可能性があることが示された。</p>
収録刊行物
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- 環境科学会誌
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環境科学会誌 36 (2), 15-27, 2023-03-31
社団法人 環境科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390014128339305856
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- ISSN
- 18845029
- 09150048
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可