農業パート女性の主体能力及び働き方についての考察—ひとりの農業パート女性の語りに着目して—

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Study on Empowerment and Working Conditions of Part-time Farm Workers: Focusing on the Narrative of a Woman Part-time Farm Worker

抄録

<p>農山漁村における女性の研究は,「農家の妻」という属性を持つ女性農業者の研究を中心として多くの蓄積がある。他方,農業の現場にはパートタイマーの形態で農作業に従事する女性が存在するが,その議論は未だ途上にある。そこで本稿では,パートタイマーの形態で就農する一女性の語りから,農業パート女性の働きの実態,その意識や主体能力の変化を読み解き,そこから見えてくる課題を示すことを試みた。語りの知見として,インフォーマント(農業パート女性)は,農家に対する労働力の提供に留まらず積極的に農業に関わり,農業の現場でその主体能力を発揮した。農業パート女性がその主体的能力を伸ばし成果を出すためには,個人の努力ばかりでなく周囲の理解やサポート,仲間づくり,農業関係者との人脈構築など多様なステークホルダーの役割が重要である。農業分野で農業パート女性が新規参入や新規雇用の機会を得,活躍の場を広げていくためには,多様な形態で農業に関わる女性たちが相互につながることや,サポート体制の充実を図ることも不可欠である。本稿におけるインフォーマントの経験は固有のものであり,必ずしも普遍性を問えるものではないが,農業パート女性も女性農業者同様,農業の重要な担い手として,農業分野で経済的・社会的な変化を起こすことが可能な主体であることを示唆している。</p>

収録刊行物

  • 農村生活研究

    農村生活研究 65 (1), 17-25, 2022-03-30

    日本農村生活学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390014183324391808
  • DOI
    10.34585/rlsj.65.1_17
  • ISSN
    24359203
    05495202
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ