全米小地域別将来人口推計ウェブマッピングシステムの公開

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  • Release of the Web Mapping System of Small Area Population Projections for the US

抄録

<p>1. 背景</p><p>報告者は2017年に小地域将来人口推計に関する新しい手法を開発し,それ以降,日本,米国ワシントン州,台湾のオープンデータにこの手法を適用することによって,それぞれの国・地域を対象とするウェブマッピングシステムを構築してきた。報告者はこれらのシステムをSAPPシリーズと呼び,以下のURLにて公開している。</p><p>・SAPP for Japan (http://arcg.is/1GkdZTX) </p><p>・SAPP for WA (http://arcg.is/2s5i2Vk) </p><p>・SAPP for Taiwan (http://arcg.is/1rCPmm) </p><p>2. 目的</p><p> 本研究の目的は,上述の手法を用いて新たに公開したSAPP for US(全米小地域別将来人口推計ウェブマッピングシステム)を紹介することである。このシステムは,小池司朗氏,井上希氏(いずれも国立社会保障・人口問題研究所),およびEsriジャパン株式会社の協力のもと構築した。そのURLは (https://onl.la/HfU9yPZ)である。</p><p>3. システムの概要</p><p> すべての計算は,米国有数のオープンデータベースIPUMSのコンテンツの一部を利用した。具体的には,American Community Surveyの2010-14年と2015-19年のBlock Groupレベルのデータを,それぞれ,2012年と17年の小地域人口とみなして算出した。Block Group(以下,BG)は,全米のセンサス統計地域としてはCensus Blockに次いで小さい区画である。これらのデータを用いて,2022~57年までの男女5歳階級別の将来人口を推計した。その際,米国センサス局の2017年の公式推計の全米男女5歳階級別の将来推計人口に合致するよう調整した。対象となる小地域数は約21.7万である。なお,全米を対象としてBG単位で将来人口推計を実施し,その結果をウェブ上に公開したのは初めてである。本システムでは,すべてのデータを自由にダウンロードできるほか,高齢化率,人口密度,性比,年平均人口増加率などの階級区分地図を閲覧できる。</p><p>4. 推計手法</p><p> 基本的には,コーホート変化率(CCR)と子ども・女性比(CWR)をInoue(2017)による2段階平準化法によって平準化したあと,コーホート変化率法を用いて推計する。2段階平準化法は以下の2式で表される。</p><p>yj=Pj0.5 ⁄ (Pj0.5+(∑Pj)0.5)・(Qj Pj)+(∑Pj)0.5 ⁄ (Pj0.5+(∑Pj)0.5)・(∑Qj ⁄ ∑Pj) (1)</p><p>xij=pij0.5 ⁄ (pij0.5+Pj0.5)・(qij pij)+Pj0.5 ⁄ (pij0.5+Pj0.5)・yj (2)</p><p>CCRを平準化する場合,各変数は特定のコーホートに関する以下の人口等を意味する:PjQjはcounty jの初期人口と5年後人口,∑Pjと∑Qjはcounty jが属する州の初期人口と5年後人口,QjPjはcounty jのコーホート変化率,式(1)のyjはそのコーホート変化率の平準化値,pijqijはcounty jに属するBG iの初期人口と5年後人口,qij pijはBG iのコーホート変化率, 式(2)のxijはそのコーホート変化率の平準化値。</p><p>参考文献</p><p>Inoue, T. (2017) A new method for estimating small area demographics and its application to long-term population projection. In Swanson, D. A. ed. The Frontiers of Applied Demography, Applied Demography Series 9, Springer, 473-489.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390014194595904000
  • DOI
    10.14866/ajg.2023s.0_216
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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