鉄道高架下空間の商業活用

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タイトル別名
  • Utilization of space under the overhead railway
  • Focusing on redevelopment in Tokyo
  • 東京都内における再開発に注目して

抄録

<p>鉄道の連続立体交差化により生まれた高架下空間は,戦前期から倉庫等に使用され(日本国有鉄道百年史),戦後の復興期には,焼け出された人々の住まいや闇市・歓楽街としても利用された(初田,2011).とりわけ交通結節点となるターミナル駅周辺では,闇市を起源とする大規模な商業集積が発展した.多様な業種が集積する現在の「アメ横」は,そうした集積の典型と言える.</p><p> 一方近年では,こうした自然発生的な商業利用とは一線を画する形で,鉄道事業者傘下の不動産管理運営会社による収益事業としての高架下空間開発も進められている.こうした開発では,集客圏の特性や事業コンセプトを反映した戦略的なテナントミックスに特徴があるが(中村・村木,2006),これらを対象とする研究は総じて少ない.そこで本研究では,JR東日本の傘下企業による立地条件の異なる2つの開発事例(御徒町駅~秋葉原駅間および武蔵小金井駅~武蔵境駅間)を比較し,1)テナント構成差異と時系列での変化,2)テナントミックスの背景にある管理会社の戦略的意図を明らかにすることを目的とする.なお1)については住宅地図と電話帳を用いたテナント構成の再現を試み,また2)については開発主体への聞き取り調査を実施した.</p><p> 本分析の結果,1)集客圏の広狭を反映して,都心と郊外とでテナントミックス戦略が異なること,2)高架下空間も用途地域の規制対象となるため,郊外部では学生寮など非商業系の土地利用を組み込まざるをえないこと,3)管理会社は空間の短期的な収益性だけでなく,沿線全体の長期的な価値向上を目指して地域との連携を図っていること,などが明らかとなった.他方,住宅地図を用いた業種構成の把握は,資料の制約から区画数に基づく集計に留まっており,面積に基づく詳細な検討は今後の課題としたい.</p><p>【参考文献】</p><p>中村真之,村木美貴(2006):高架下空間の活用に関する研究,『都市計画論文集』,41巻3号,p.565-570.</p><p>初田香成(2011):都市の戦後-雑踏のなかの都市計画と建築,東京大学出版会.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390014194595914496
  • DOI
    10.14866/ajg.2023s.0_254
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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